2025/08/10

前世の残渣


『同じ記憶を持つ、点と点がありました。
 川を隔てて点と点がありました。
 ひとつの点は崖の途中の洞穴に幽閉され、
 ひとつの点は川岸の向こうに。
 この世でまた出会うべきではありませんでした。
 
 不快な夢のようなものであり、朝起きた時の苦虫を嚙み潰したような後味の悪さを、嗽と ともに吐き出して、』


 排水口の暗穴に流れる虚ろを見送った。
 
 あとは、僕は自分の線を

  (たとえ途切れ途切れだとしても)

 まっすぐに引くだけだ。