2024/05/09

滲夢。


それは闇だけの世界だった。


何も無く

世界の終わりのような。




最後の夢だったのかもしれない。



「さよなら」

そう言葉を残して、

その声は闇の中へと滲んだ。




長い夢だったと思う。

ひどく疲れてしまった。

取り返しのつかない時間を無駄にした。

2024/05/04

此ノ世ノ葉テ


布を捲ると、真緑のナニカが、ふわっと飛びあがった。



「ひっ」

虫かと思った私の、ひより声が漏れる。

ソレは、ふわふわと飛んで、「ふっ」と消えていった。



木の葉が重なり合うような形をしていた。

両手で包めるほどの大きさで、とにかく鮮やかな緑色という印象。

長い紐のようなものがひらひらと付随している。



今のは何だったのだろう
考えながらも、家の中だし、虫だったら気持ちが悪いので、あちこち探し回ってみたが、どこにも見当たらず。



濃淡のある緑は二匹が絡み合っているようにも見えたし、こちらに驚いて慌てて飛び立ったようにも見えた。


そんな虫がいるのかと検索をしてみたが、如何せん私は虫嫌いで、見るのもだめなので、断念。



コノヨノハテに生息する蟲なのかもしれないとアイマイに結論づけるのだった。